大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和45年(借チ)1075号 決定

〔主文〕1 申立人が別紙目録(二)記載の建物のうち前面公道から向つて左側の倉庫部分約13.22平方米(約4坪)を軽量鉄骨造二階建店舗兼居宅床面積一、二階とも各29.75平方米(9坪)に改築することを許可する。

2 別紙目録(一)記載の土地に関する申立人相手方間の賃貸借契約の賃料を本裁判確定の月の翌月分から3.3平方米当り一ケ月六五円に改める。

3 申立人は、相手方に対し、金二七万円の支払をせよ。

〔理由〕(申立の要旨)

1 申立人は、相手方から、昭和二〇年一〇月一八日別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という)を非堅固建物所有の目的、期間三年の約で賃借し、右期間満了後も引き続き本件土地の使用を継続し、賃料は、昭和四三年七月一日以降一ケ月三四二〇円に改められ、現在にいたつている。右借地契約には一切の増築を禁止する旨の約定がある。

2 申立人は、本件土地上に別紙目録(二)記載の建物(以下本件建物という)を所有し、これを主文掲記のように増改築したいが、相手方の承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。

(決定理由)

1 本件の資料によると、申立の要旨として掲げた前記1、2の事実のほか本件増改築は土地の通常の利用上相当であることが認められるので、本件申立は、これを許可すべきである。当初定められた借地期間三年は民法六〇二条所定の期間の範囲内であるので、賃貸人が寺院であるとはいえ、本件賃貸借は、管理行為として有効であり、申立人は、当初の期間満了後今日にいたるまで本件土地の使用を継続し、この間、相手方から右継続使用について異議を述べた形跡がないのであるから、当初の期間満了後は約定期間である三年の経過毎に更新されたものということができる。

2 附随処分

本件増改築により、申立人の住の快適性は増加するとともに店舗拡張による収益増も期待され、このことは、本件土地の利用価値が従前より増加することを意味するので、申立人に相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当である。本件増改築は、全面的改築でなく、部分的増改築であるので、今回改築を施さない部分もいずれは増改築をしなければならず、その際相手方に承諾料を支払うか、本件のように財産上の給付を命じられることになるので、給付の額は、全面的改築の場合より低額で然るべきであり、本件増改築の床面積と増改築を施さない部分の床面積の比率、本件増改築にかかる部分の階下は収益性のある店舗に使用されることを考慮に入れ、給付額は、当裁判所の従来の裁判例に徴し、鑑定委員会の評価した本件土地の建付地価格二、三四二万七、〇〇〇円の約一、一六%に当る二七万円とするのが相当である。

本件増改築に伴い、本件土地の使用収益の価値が増加するので、使用収益の対価たる賃料もそれにふさわしい額に改めるべく、賃料を本裁判確定の月の翌月分から鑑定委員会の意見どおり3.3平方米当り月額六五円に改める。(小山俊彦)

目録

(一) 東京都大田区西六郷二丁目二九番八

宅地 1348.76平方米(408坪)

の内 251.63平方米(76坪1合2勺)

(二) 右(一)地上所在

家屋番号 二九番八

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建店舗兼居宅

床面積 40.49平方米(12坪2合5勺)

現況

木造瓦葺二階建店舗、居宅、倉庫

床面積 一階 87.60平方米(26坪5合)

二階 39.66平方米(12坪)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!